センター試験英語問題あれこれ(6)

万:センター試験の第2問ではよく仮定法が問題になってるけど、高校の文法をちゃんと勉強している受験生にとっては「いただき〜!」という感じや。たとえばこんな問題なんかまさに教科書通りといってええやろ。


次の問いのカッコに入れるのにもっとも適切なものを下から選べ。
問1 If Mary ( ) how to swim, she would go to the beach more often.
1. knows
2. knew
3. will know
4. had known

問2 I’m sorry to hear about your problem. But if you had taken my advice, you ( ) in such trouble now.
1. haven’t been
2. would be
3. would have been
4. wouldn’t be

問3 ( ) someone helped me, I could have finished it in a day.
1. If
2. Should
3. Had
4. Unless

永:英語の仮定法には仮定法過去と仮定法過去完了があるから注意せなあかん。たとえばどっかのデパートの婦人服売り場で娘とその母親が新しいデザインの服を見ながら話しているとしよう。その場で母親がそんな服はほしくないと言っている娘に、「ほしかったら、買ってあげるのに」、そして家に帰ってからやっぱり買ってもらったらよかったかなという娘に「ほしかったら、買ってあげたのに」という。この「ほしかったら」という部分は仮定法で表現されているんやけど、日本語の場合はデパートの売り場でも家に帰ってからでもこの部分は同じでも問題ない。けど英語では区別して表現する。

万:そうや、デパートで母親が言う「ほしければ、買ってあげるのに」は娘がほしくないと言っているから出てきた表現であって、詳しく言えば「実際にはお前はほしくないと言っているけど、もしほしかったら、買ってあげるのに」ということやろ。「ほしければ、かってあげるよ」とは違うことが分かるかな。ここでちょっと整理してみよう。

条件表現と仮定表現の違い
日本語の「ほしければ、買ってあげるよ」は英語では
If you want the dress, I will buy it for you.となり、このif 節は私が買ってあげるための条件をあらわしていて、相手がそのドレスをほしがっているかどうかは未知数や。
一方日本語の「ほしかったら、買ってあげるのに」は英語では
If you wanted the dress, I would buy it for you.となり、このif 節は仮定をあらわしていて、実際には相手がそのドレスをほしがっていないことをはっきりと読み取ることができる。


ということで、二つの違いは分かってもらえたかな。形の上では条件の if 節中では動詞は常に現在形をつかう、たとえ意味は未来であっても。たとえばとっても簡単な例やけど、

If it is fine tomorrow, I will take you to the zoo.
「明日天気なら君を動物園につれていってあげようね」

たとえ明日のことであっても if it will be fine tomorrow とやってはいけない。常に現在形を使う。それに対して仮定の文ではその仮定が現在の事実に基づいてされる場合は過去形を使う、たとえば、

He cannot fly. If he could fly like a bird, he would fly to her.
「彼は飛べない。もし鳥のように飛べたら彼は彼女のところへ飛んでいくだろう」

という風に if節で過去形の動詞をつかって現在の事実に反することを仮定していることを知らせる。そしてその仮定から予想されることを述べる文、普通帰結節と言われているが、では必ず助動詞の過去形を使う。


If 主語+過去形の動詞・・・・・、主語+助動詞の過去形+動詞の原形・・・・・.


そういうわけやからデパートで母親は仮定法過去を用いて「ほしかったら、買ってあげるのに」と言わなければならないんや。くどいけど、娘はほしがっていないわけやから。

永:じゃ、家に帰ってから母親がいう「ほしかったら、買ってあげたのに」はデパートでのことを家に帰ってから言っているから、過去のことに言及していることになるな。

万:うん。デパートでは娘は「ほしくない」と言った。それは過去のことやからその反対を仮定して「もしほしかったら、買ってあげたのに」と母親は言っている。これは「あなたがそのドレスをほしくなかったから買ってあげなかった」という過去の事実を裏返して仮定で表現しているわけや。そういう場合英語では仮定法過去完了を用いるんや。


「あなたがそのドレスをほしくなかったから買ってあげなかった」
As you did not want the dress, I did not buy it for you.
これを仮定法を使って裏返すと

「ほしかったら、買ってあげたのに」
If you had wanted the dress, I would have bought it for you.
となる。

このように仮定法過去完了というのは過去の事実を裏返して表現しているから、仮定法の裏には必ずその逆の事実が隠されていることになる。


If he had known the fact の裏には he did not know the fact という事実がある。
また
If I had not known the fact の裏には I knew the fact という事実がある。


仮定法過去完了の文は次の形をとる。帰結文の形が助動詞の過去形の後にhave+過去分詞がくることに注意。


If 主語+過去完了・・・・・、主語+助動詞の過去形+have+過去分詞・・・・.


ということで、単なる条件を表す文と仮定法の違いは了解してもらえたかな。そして仮定法でも現在の事実に基づいた仮定をする場合は仮定法過去、過去の事実に基づいた仮定をする場合は仮定法過去完了を用いるということ。そしてそれぞれの帰結文の形の違いも了解やな。

永:お前の解説を適用すると、問1は帰結の文が she would go to the beach more often と助動詞+動詞の原形がきているから、分類で言えば仮定法過去やと分かる。だから正解は2のknewや。


If Mary knew how to swim, she would go to the beach more often.
もしメアリーが泳ぎ方を知っていたら、もっとよくビーチに行くだろう。


それから問2は if節の形は過去完了だから、当然、仮定法過去完了の文や、したがって帰結文の形は「助動詞の過去形+have+過去分詞」やから3のwould have beenになるはずや。しかしここで最後に置かれたnowに注意せんといかん。そのわけを万が説明しろ。

万:良くあることやけど、仮定の部分は過去の事実に基づいているから仮定法過去完了がつかわれるが、帰結の部分が現在に及んでいる場合は通常の仮定法過去完了の場合とは違って次のような形をとるんや。


If+主語+過去完了形・・・・・・・、主語+助動詞の過去形+動詞の原形・・・・・.


if 節は仮定法過去完了やけど、帰結文は仮定法過去の場合の帰結文と同じ形になるんや。たいていそういう場合は帰結文に現在を示す副詞や副詞句があるからすぐに分かる。だから問2の答えは形としては2か4やけど、意味を考えると当然4でなければあかん。


I’m sorry to hear about your problem. But if you had taken my advice, you wouldn’t be in such trouble now.
君の問題を聞いて残念に思う。けど、もし君が僕の助言に従っていたら、今ごろそんなに困ってはいないだろうよ。


永:最後の問題は要注意やけど、この手の問題は結構頻出しているから大学受験生にとっては珍しくもないやろ。けど一般の、あまり文法にこだわらない人たちにとってはひょっとしたら難しいかも。

万:受験生なら、仮定法のif節はしばしばifが省略されて主語と動詞が倒置される、ということを知っているはずやから、すぐ問題の意図に気づくと思うけどケアレスミスがありそうや。 I could have finished it in a day は仮定法過去完了の帰結の形やから、if 節は if someone had helped meとしなければならないことは分かるんやがそうするための選択肢がないもんやから無理やりif を選択する受験生もいるかも。正しくはif が省略されて倒置になっているから、答えは3のhad や。


Had someone helped me, I could have finished it in a day.
(=If someone had helped me, I could have finished it in a day.)
もし誰かが手伝ってくれていたら、一日でそれをやってしまえたのに。


永:この3つの問題はあまりにも教科書通りやから受験生を大いに困らせることはなかったと思う。次の問題は2005年に出されたやつやけど、これもすぐに仮定法だとわかるから楽勝やろう。


問4 David was badly injured in the accident. If only he had left home five minutes earlier, he ( ) involved in it.
1. was
2. was not
3. would have been
4. would not have been

万:センも芸がないな。問2の問題と同類やんか。if 節の形をみればすぐに仮定法過去完了だと分かる、ただ帰結部が問題2のようにひねってはいないからその分素直な問題や。答えはすぐ2つに絞ることができる。そして意味を考えたら当然4に決まってるがな。


David was badly injured in the accident. If only he had left home five minutes earlier, he would not have been involved in it.
デイビッドは事故で大怪我をした。もし彼がもう5分早く家を出てさえいたら、その事故に巻き込まれることはなかっただろうに。


永:じゃ、次の2009年の問題はどうかな。問3と同じタイプなんやけど、英作文の問題として出されていて、形式的にも受験生は戸惑わされたかもしれん。


問5 下の語句を並べ替えて空所を補い、文を完成させよ。

There was a phone call from someone whose number you didn’t recognize, so you didn’t answer it. However, it was from someone inviting you to a party. You could express your regret by saying:

I ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) answered the phone yesterday.

1. could
2. had
3. have
4. I
5. joined
6. the party

万:たしかに!受験生は戸惑うかもしれん。センター試験もなかなかやる。誰かが電話してきたんやけど、電話番号に見覚えがなかったんで出ずに放っておいたところ後から誰かからあれはパーティーを知らせる電話やったということを教えられて、「しまった、電話に出ていたらパーティーに行けたのに」と残念がっている場面を描くことを要求している問題や。そういうイメージをもてたらこれが仮定法を問うていることに気づくはずや。ところが選択肢には if が与えられていない。そこで if を省略した倒置や!とわかればええんやけど、どうやろ、けっこう気づけない受験生もいたかもしれん。解答をあげておく。


There was a phone call from someone whose number you didn’t recognize, so you didn’t answer it. However, it was from someone inviting you to a party. You could express your regret by saying:

I could have joined the party had I answered the phone yesterday.

番号に見覚えのない人から電話があった、なので出なかった。しかし、それはパーティーに君を招待する人からだった。君は残念な気持ちを次のように言うことによって表現するかもしれない:
「昨日あの電話に出ていたらパーティーに行けたのにィ〜」


永:if がないことを除けば典型的な仮定法過去完了や。ではまた!

センター英語試験問題あれこれ(5)

万:前回と同じく今回も流れからはずされた3つの文章を論理的に筋が通るようにつないでパラグラフの全体の流れを復元する問題を取り上げる。

永:前回は this という指示語を手がかりに流れを再現できたけど、今回はどうかな。何に注目すべきかをすばやく読み取る必要がある。つまり決め手になるものを出題者は与えてくれているわけや。必ずそれは与えられているんや。そうせんと何が正解かの裏づけがなくなるからな。採点段階で問題が生じるかもしれんやろ。

万:問題はこれや。

問)次の文章の(     )に入れる3つの文が、順不同で下の A〜C に示されている。論理的な文章にするのに最も適当な配列のものを下の1〜6の内から一つ選べ。

Did you know that things as small as leaves can delay trains? When leaves fall onto the tracks, they can cause wheels to slip and then the brakes may not work properly. ( ) They claim that it could blast leaves away easily and quickly.

A. Some scientists suggest that a laser device fitted onto the front of a train might solve the problem.
B. In spite of such efforts, trains are sometimes delayed for long periods of time.
C. In some areas, those leaves have to be removed by an army of cleaners.

1. A-B-C
2. A-C-B
3. B-A-C
4. B-C-A
5. C-A-B
6. C-B-A

永:ぱっと見たところでは A には決め手になる手がかりがないことがすぐに分かると思う。どこにおいてもかまわないような感じや。こういう選択肢にこだわってはだめや。すぐに手がかりが明らかのものに飛びつくべきなんや。一応 A の意味は「レーザー装置を列車の前に取り付けたらその問題は解決するかもしれないということをいう科学者もいる」

万:そう思うやろ。その通りや。such とか those に飛びつくべきなんや。とりわけ B なんかは助かる選択肢やで。such efforts に相当するものは C しかないからな。B の意味は「そういう努力にもかかわらず、時とすると列車は長時間遅らされる」やけど、「そういう努力」が指しているのは、 C の「地域によっては、それらの落ち葉は大勢の清掃作業員によって取り除かれなければならない」ということであることはあきらかや。したがって C-B というつながりがすぐできる。問題は A が先になるのか後になるのか、ということや。けどそれはすぐに解決する。( )に続く文の they が指しているのは B の some scientists であることは分かるはずや。

永:再現されるべきは C(落ち葉を除去するのに大変な人手がいる地域もある)→B(そういう努力にもかかわらず列車は遅れる)→A(科学者たちがその問題の解決策を提案する)という論理の流れやったわけや。

万:線路に積もった落ち葉を取り除くのは大変な努力が必要なようやけど、この問題を解くにはそんなたいそうな努力はいらんかったな。いつものように俺が全文の訳をしておくで。

訳)木の葉のような小さなものが列車を遅らせることがあることを知っていましたか。葉っぱが線路に落ちると車輪をスリップさせて、ブレーキがうまくきかなくなるかもしれません。地域によっては、それらの葉っぱは大勢の清掃作業員によって取り除かれなければなりません。そういう努力にもかかわらず、時とすると列車は長時間遅らされます。レーザー装置を列車の前に取り付けたらその問題は解決するかもしれないということをいう科学者たちもいます。彼らはそいつが葉っぱを簡単にすばやくやっつけてくれると主張しています。

blast away を「〜をやっつけてくれる」と訳してみたけど普通に「除去してくれる」くらいでよかったかな。辞書には「砲弾などで〜を爆破する」という訳語が紹介してあった。俺としてはレーザー装置やからレーザー光線がパッと葉っぱどもを照射して、その照射を受けた葉っぱどもが跡形もなく消えて無くなる、というイメージかなと思うんやけど。どうやろ。

永:そうなるとそんな装置を付けた列車は相当に物騒な凶器やで。列車というよりレーザー光線銃で武装したレールの上を走る戦闘ロボットやな。それも面白いかもな。けど、たかが葉っぱごときものを相手にそういうたいそうな装置を提案するなんてどんな科学者なんやろな。

センター英語試験問題あれこれ(4)

万:セン!センターの問題に文章を論理的に筋の通るように完成させるタイプの問題があるんやけど、今回はそれを取り上げてみるか。

永:そうやな、一つのパラグラフを構成しているいくつかの文章はそれぞれ有機的につながっているわけやから、それらの文章の幾つかがはずされてしまうとつながりが断ち切れ、一時的にそのパラグラフは不連続になる。それを再び元の論理的に連続したながれに戻すことを要求される、たしかそういう問題やったな。

万:まあ〜、そう言えるかな?これがその一つや。

問)次の文章の(   )内に入る3つの文が、順不同で下のA〜Cに示されている。論理的な文章にする最も適当な配列のものを下の1〜6のうちから選べ。

The color purple has often been regarded as a symbol of wealth and power, but the dye used to produce it did not have an elegant beginning. An ancient people living along the coast of the Mediterranean Sea first discovered how to make the dye from Murex snails, small sea animals with hard shells. ( ) Let us hope we cannot smell them.
A. From this liquid the people produced the purple dye.
B. If we visit the places where the dye was produced, we might still be able to see the shells of Murex snails.
C. Unlike other snails, Murex snails give off a strong-smelling liquid that changes color when it comes into contact with air and light.

1.A-B-C
2.A-C-B
3.B-A-C
4.B-C-A
5.C-A-B
6.C-B-A

永:一つの方法としてはA, B, C のどれが最初に来るかをすばやく決定することやろな。そのやり方でやるとまず A が最初に来ることはない。A の意味は「この液体から、その種族は紫の染料を作った」となる。A が最初に来るためには this liquid に相当するものがすでに述べられていなければならんが述べられていないからな。

万:そうや、つながりがないから読み手は「この液体」って何の液体や?と驚かざるをえないやろ。つながりがないということでは B も同様やな。B の意味は「その染料が作られた場所を訪れたなら、ひょっとしてなおも Murex snails の貝殻を眼にすることができるかもしれない」となる。この文が最初にくるためにはやはり the places where the dye was produced に相当する場所への言及がなければおかいしやろ。たしかに前には the coast of the Mediterranean Seaという場所を表す言葉があるけど、the places は複数形やから対応しないから連続してはいないことになる。もしこの B の文が A の次にあれば A には地中海の海岸地方の種族が染料を作った、という言及があるから B の the places where the dye was produced とはそこの場所のことやとわかる。したがってA-Bとつながるのが妥当だといえる。

永:残ったのは C やが、一つのつながりが確定できれば後は簡単や。A に出てくるthis liquid に当たるものへの言及があるのは C やさかい当然 C が先頭にくることになる。重要なのは何を手がかりにつながりを再現するかや。この問題では A の this liquid の this という指示語の存在が大きいな。 C「Murex snailは強烈な臭いの液体を出す」→ A「この液体から沿岸の種族が染料を作った」→ B「その染料が作られていた場所へ行けば今でもMurex snailの貝殻があるかもしれない」という流れを再現すれば気分がすっとするやろ。詰まっていた流れが動き出すのを感じるときの快感や。ついでに C の意味は「他の巻貝とはちがって、Murex snail は空気や光に当たると色を変える強烈な臭いの液体を出す」

万:セン!調子に乗ってちょっと怪しくなろうとしてるやろ。「詰まっていた流れが動き出すのを感じるときの快感」やって?いったいそれはどういう連想や。まじめにやりや!

永:わかった。お詫びにウィキペディヤから拝借してきた Murex snail の写真と、全訳をしておくわ。

訳) 紫の色は富と権力の象徴としばしば見なされてきていますが、その色を出すために使われた染料の発端はエレガントなものではありませんでした。地中海沿岸に住んでいた古代のある種族が初めて Murex snailという硬い貝殻をもった小さな海の生物からその染料の作り方を発見したのです。他の巻貝とはちがって Murex snailは空気や光に触れると色を変える強烈な臭いの液体を出します。この液体からその種族は紫の染料を作ったのです。もし私たちがその染料が作られていた場所を訪れたなら、今でもMurex snail の貝殻を眼にすることができるかもしれません。けれどもその臭いはごめんこうむりたいものですね。

Murex snail.jpg
Tyrian purple, also known as royal purple, imperial purple or imperial dye, is a purple-red dye, which is extracted from sea snails, and which was first produced by the ancient Phoenicians. This dye was greatly prized in antiquity because it did not fade, rather it became brighter and more intense with weathering and sunlight.

「ロイヤルパープルとしても知られているこの紫の染料は、海の巻貝から抽出されるのだが、古代のフェニキア人によって初めて作られた。この染料は古代にものすごく珍重された、というのもこの染料は色あせることがなかったからである、むしろ風雨や日光にさらされると一層輝き強烈になったからである。」




センター英語試験問題あれこれ(3)

万:セン、今回はセンターの問題やないんやけど、間接的には多少センターの勉強にも役立つかなと思ったんで、関西医科大学の問題をとりあげてみるわ。文法的知識や語法の知識に関して俺と勝負しようや。

永:なんや、勝負やなんて。お前は現役の受験生なんやから、わしのような一般人を相手にしたら負けるわけがないやろ。だからハンディとしてわしにお手つき1回をゆるせや。

万:センは一般人やないで。受験生を相手に受験英語を教えてるんやから立派な受験のプロや。日ごろえらそなことを言ってるんやから、こういうときこそ堂々と勝負せなあかんがな。

永:わかったわい。ただ勝負といわれると緊張するからいやなんや。

万:何をいうてるんや。俺ら受験生は試験のたびに勝負してるんや。センもたまには受験生と同じ立場でやってみろ。問題はこれや。

次の日本文の適切な英訳になっているものをA〜Eから一つ選べ。

A.彼はいくつかいいアドバイスをしてくれた。
He gave me some good advices.

B.豪雨の後で川は満水になり決壊に至った。
After the heavy rain, the river was threatening to overflow.

C.がっかりさせた償いに、その子にチョコレートをやった。
I gave the child a chocolate to make up his disappointment.

D. 今朝の8時から雨が降っている。
It is raining since eight o’clock this morning.

E.このミシンは中国製です。
This sewing machine is of Chinese make.

どうや、セン?わかったか。受験はスピードやで。辞書や参考書にたよられへんで。

永:こういう問題は消去法が安全や。間違ったやつを消去すると、わしの場合は D が残るな。だから答えはDや。

万:俺の答えもそうや。まずAは advices に問題ありやな。

永:そうや、adviceはuncountableやから複数形にしたらあかんのや。

万:Bやけど。the river was threatening to overflow は「川は満水になり決壊に至った」という意味にはならへん。threaten to do 〜は「〜する恐れがある」という意味やからこの文は「豪雨のあと、その川は今にも溢れそうになっていた」となる。

永:じゃ、Cはどこがまずいんや。

万:きまっとるやないか。「がっかりさせた償いに」の英訳が to make up his disappointment となっているのが、まちがいや。〜を償う、とか、〜を埋め合わせるのはmake up for 〜 やから for がないのはまずい。a chocolate もまずいとおもうかもしれけど、chocolate は製品になっている場合は countable や。

永:Dは時制やな。since 〜は「〜以来」でこれが使われていると文は「〜以来ずっとある状態なり動作なりが続いている」ことを表現する。それは継続といって時制は現在完了形、あるいは動作の継続を言う場合は現在完了進行形を使うんや。この文のように現在進行形だと文意は「今朝の8時から今雨が降っている」となって変なことはすぐわかるやろ。だから正しくは It has been raining since 8 o’clock this morning.とせなあかん。

万:E の of Chinese make をどう感じたか知らんけど、「〜製の」というとき、make をこのように名詞として使うのはありや。OK、今回は引き分けや、お手つきもなかったし。もう一つ同じ大学のこの手の問題を勝負しょうぜ。

次の日本文の適切な英訳になっているものを選べ。
A: 邪魔されたくないから、誰にも会わないよ。
I don’t want to be interrupted, so I won’t see no one.

B: 僕はその男の子にメガネを壊された。
I had my spectacles broken by the boy.

C: 僕は行きたくない。彼もそうだ。
I do not wish to go. So does he.

D: 雨が降っているのに彼は出発すると主張した。
He persisted to start in spite of the rain.

E: 彼は正直者だと私は信じている。
I am believing he is honest.

永:A は正しいやろ。「誰にもあわないよ」やから、I won’t see no one. あっ!しまった。won't も no one も否定やから両方否定ではあかんがな。正しくは I won’t see any one.
となるべきやな。

万:はい、センお手つきやで。ま、1回は許されるんやったな。じゃ、セン、B はどうやろか。

永:「have 〜 p.p.」が「〜をこれこれされる」とか「〜をこれこれしてもらう、あるいは〜をこれこれさせる」というように被害を被るという意味合いで受身的に使われたり、使役の意味で使われることは受験生なら必須の知識やから、だれでもこれが正しいと、すぐに気づくはずや。じゃ、どうして後の C, D, E がまずいのかをお前が説明してみろ。

万:そうやな、まず C やけど。案外これを正しいと判断する受験生もおるかもな。な、セン、So does he. は日本語の「彼もそうだ」に対応しているからな。この対応関係は結構やっかいやで、われわれ日本人の場合。たとえばこんな場合を考えてみようや。

問)カッコ内の正しいものを選べ。

A: 君はそのことで文句を言わなかったのか?
 “Didn’t you complain about it?”

B: いいえ、言いましたよ。
 ( “No.” / “Yes.” )

「いいえ、」やから “No.” を選ぶかもな。けど正しくは “Yes.”や。文句を言ったわけやから答えは肯定でなければいけないんや、英語の場合。そこが日本語の場合と往々にして逆になるから、Yes と No の使い分けには注意する必要がある。同じように C の場合「僕は行きたくない。彼もそうだ。」の「彼もそうだ」という日本語表現は日本語では「行きたくないということでは彼も僕と同様である」という意味に解釈できるけれど、英語の So does he.はあくまでも肯定を表すから日本語とは違って「彼も行きたがってはいない」という意味にはならないんや。日本語の「彼もそうだ」は次のどちらの場合にも機能する。

A) 僕は行きたい。彼もそうだ。
B) 僕は行きたくない。彼もそうだ。

A)の「彼もそうだ」は「彼も行きたがっている」と日本語では解釈できる。そしてB)の「彼もそうだ」は「彼も行きたがってはいない」と日本語では解釈できるし、実際にそう解釈さるだろう。けれどそれを英語も場合に当てはめることはできないんや、英語では日本語のA)とB)は次のようになる。

A) I wish to go. So does he.
(=I wish to go. He wishes to go, too.)
B) I don’t wish to go. Neither does he.
(=I don’t wish to go. He does not wish to go, either.)

つまり肯定と否定を日本語のようにあいまいには決して表現しないということや、良し、悪しは別として。

永:このYes と No の使い方で今までにえらいめにあった日本人もいるやろうな。意識していても、とっさの場合つい日本式で答えてしまうかもしれん。まあ、お前の説明で C がまずいことは良く分かった。あとは D とE や。

万:「主張する」のは普通 insist で insist on starting「出発すると主張する」となる、persist in startingは「出発すると主張する」という意味にはならない。persist in 〜ingは「頑固に〜し続ける」という意味合やから。Eの間違いも受験生ならすぐに気がつくはずや。動詞の中には進行形をとらない動詞があってbelieve はその一つや know, love, resemble, などのように「〜している」という意味の動詞は進行形にしなくても進行形的な意味をもっているからな。

永:OK!こういう問題に関しては文法や語法の知識がないと、解く方も面白みがない。知識があれば出題者の意図が分かるからそれなりに楽しんでとくことができる。今回はこれで!

センター英語試験問題あれこれ(2)


万:今回もセンター問題や。前回は主語にフォーカスすることがすなわち問題の解決につながるということを言いたかったわけやけど、伝わったやろうか、セン?俺らのやり方はのんびりしすぎて、センターを眼前にして眼の色をかえている受験生には受け付けられへんかもしれん。

永:センター問題を取り上げたからといって、わしらのターゲットは必ずしも受験生ばかりではない、一般に英語に興味のある人の目に留まって馬鹿にしてもらったり、ちょっと興味を持ってもらったりできれば、それでええんやから、お前はそんなことを心配せんでもええ。今回も主語にフォーカスするとお前は言っておったやないか。

万:引き続きセンターの整序問題から見つけたんやけど、これなんかもやはり「主語に気をつけや」という問題とちゃうか?

問(1)下の語句を並べ替えて空所を補い、文を完成させよ。
According to this magazine, ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) from Europe.
1.to 2.new fashion trends 3.is sure 4.next summer 5.bring

ふつうnext summer なんて語句は、たとえば We are planning to do scuba diving in Okinawa next summer. というような感じで副詞句として用いるのがふつうだと思っている受験生もいるだろうから、そういう受験生にとっては next summer を主語にするという選択はもっとも思い浮かばないものであるかもしれへん。そこがこの問題のポイントと言える。けど実際にはnext summer は副詞句としても使えるが本来は名詞なんやから当然主語にもなるんや。

永:「来年の夏にはヨーロッパから新しいファッショントレンドがやってくる」ということを「来年の夏がヨーロッパからあたらしいファッショントレンドを持ってくる」と表現しているわけやな。be sure to の後に動詞を置けば「きっと〜するだろう」という、話者の確信を述べる表現になる。したがって答えは、

According to this magazine, next summer is sure to bring new fashion trends from Europe.
「この雑誌によると、来年の夏にはヨーロッパから新しいファッショントレンドがやってくるらしい」

万:次にあげる整序問題もやはりそうやな、主語にフォーカスする必要ありや。

問(2)下の語句を並べ替えて空所を補い、文を完成させよ。
Oh, no, I left my purse at home! Is there ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) some money until tomorrow?
1.of 2.any chance 3.you 4. me 5.lending

おそらく中学校で習ったと思うけど there is/are …. という構文は特殊で主語は be 動詞の後にくる。この文は疑問文やから is が there の前に置かれている。したがって、there の次の空所には any chance しかありえないことはすぐわかる。だから Is there any chance of 〜ing 「〜する可能性はあるか?」という語順にすればええんやけど、問題は「〜する」のは誰かを示すことが必要な場合があるということや。動名詞の意味上の主語の示し方で学習したことを思い出してほしい。必要な場合には動名詞の前に所有格か目的格の形で置けばそれが動名詞の意味の上の主語になるんや。たとえば、

Is there any chance of his/him coming late tonight?
今夜彼が遅くやってくる可能性はあるだろうか。

というように動名詞の意味上の主語をしめすわけや。だからこの問題は主語の問題を二重に問うていることになる。主語にフォーカスしろということやな。

永:この問題の解答はつぎのようになるわけか。
Oh, no. I left my purse at home! Is there any chance of you lending me some money until tomorrow?
あ、ドジやな。家に財布を忘れてきた。君が明日まで僕にいくらか貸してくれるという可能性はあるだろうか?(ひょっとして明日までいくらか貸してもらえないかな)

主語にフォーカスせよ、ということなら次のこれなんかもそれにあたるのではないかな。

問(3)下の語句を並べ替えて空所を補い、文を完成させよ。
Does having pictures on a menu ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) to order?
1.to decide 2.what 3.make 4.easier 5.it

having pictures on a menu のような形が主語になることに慣れていない受験生にとっては難しく感じられるかもしれん。まして形式目的語の it の用法をも知らなければお手上げやろう。

万:じゃ、俺が簡単に形式目的語の it とはどういうものかを説明するは。形式目的語をとりがちな動詞は make, find, take, believe, think, などたくさんあるけど全部知らなくても代表的なやつの作る形式目的語構文を知っておけば後はその応用でいけるはずや。まずこれらの動詞が作る次のような文の形に注意してほしい。

The new computer has made my work a lot easier.
あたらしいコンピューターが私の仕事をずいぶん楽にしてくれた。
⇒ make A B は「AをBにする」という意味がある。この場合Aはmy work、Bはa lot easier

We found the new student very competent in English.
その新しくやってきた学生は英語にとっても堪能であることが分かった。
⇒ find A Bは「AがBであることがわかる」ということを言うときに使われる。この場合Aはthe new student Bは very competent in Englishや。

Everybody takes a cell phone for granted.
誰もが携帯を持つのは当然だと思っている。
⇒ take A for grantedは「AをBと見なす」でこの文の場合Aは a cell phone、Bは for granted


上の例文から makeが「AをBにする」、findが「AがBだと分かる」、takeが「Aを当然とみなす」という意味の文を作ることを確認してもらえたかな。これらのAのところに it を置けば、makeの場合は「it をBにする」、findの場合は「it がBだとわかる」、take の場合は「it を当然と見なす」となることもわかってもらえるやろう。そういうときの it は空き家やと思えばええんや。その空き家に後に置かれた真の目的語にあたるものを放り込むんや。その真の主語には that節、不定詞句、動名詞句、などがなるんやけどたいていはthat節や不定詞句やな。例を示すで。

The use of small airplane makes it easy for Maine’s forestry department to survey the forests.
easyまでの意味は「小型飛行機の使用がitを容易にする」となる。そのitは空き家やからその中に後の不定詞をもってくるんや。不定詞の前のfor〜は不定詞の意味上の主語を示しているので、「〜が・・・すること」という風に名詞的に訳して入れることが大事やで。
すると全体は「小型飛行機の使用がメイン州の森林管理部門が森林を調査することを容易にする」となるやろ。もとのitがあったところは赤で示すからな。

永:くどく説明したな。お前が説明したことを分かっていることも大切や。それはつまり基本やからな。そういうitの使い方に慣れたら面白いようにいろんな文章を作ることができるようになるやろ。結構itは英作文でも役に立つからな。で、さっきのセンターの問題の答えはどうなるんや?

万:あらためて示すまでもないかも知れんけど、つぎのようになる。

Does having pictures on a menu make it easier to decide what to order?
「メニューに写真がついていることは何を注文したらいいかを決めるのを容易にしてくれるのだろうか」

主語にフォーカスすることは、同時に述語動詞にフォーカスすることでもあるんやけど、この例のようにmakeは結構長い動名詞句やそのほか修飾語句がついて長くなった名詞などが主語になっている場合が多いから普段から主語の多様さに注意する必要があるとおもうな。

永:さっきの問題は形式主語のitが出題されていたようだが、形式主語のitが問われている問題があったから紹介するけど、万、お前が簡単に解説をしてやれ。

問(4)下の語句を並べ替えて空所を補い、文を完成させよ。
Before I went to the U.S., I had ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) in a foreign country.
1.would be like 2. what 3. it 4.no idea 5.to live

万:まあ、選択肢をみたらもはや反射的に英文が浮かんでこんとあかんやろ。なんといってもセンターはスピードが大事やからな。no ideaがあればI had no ideaという表現がすぐできるはずや。次に別の例文を出すからそれで要領をつかんでくれたらええ。

I have no idea what it is like to live in Japan as a foreigner.
=I don’t know what it is like to live in Japan as a foreigner.
I have no ideaはI don’t knowと同じやと思えばよい。
what it is likeはwhat is it like?「それはどのようなものか」という疑問文が間接疑問文となったものや。itは空き家なんやからそこに to live in Japan as a foreigner を入れたら、「日本で外国人として暮らすことはどのようなものか」となる
同じ要領で並べればセンの紹介した問題の答えは次のようになる。

Before I went to the U.S, I had no idea what it would be like to live in a foreign country.
「合衆国に行くまで、私は外国暮らしがどのようなものになるのかさっぱり分からなかった」
what it is like が what it would be like となっているのは what it will be like という未来表現が時制の一致で過去形になったんや。過去における未来として解釈すればよい。

主語と動詞の関係は英文を解釈したり、英文を作ったりするときの基本の基本やから、この問題もそういう基本が分かっているかどうかを試しているわけや。本日の言葉は「基本が大事やで!」にしておくか。